◇◇◇◇
夜9時近く、そろそろ社内にいる人も両手で数えられる数になってきた。
「おつかれさまでーす」
「お疲れ様です」
デザインチームの数名が連れだって出ていく後ろ姿を見送ってから、右隣のデスクに目をやった。
今日もやっぱり、拓巳は6時きっかりに退社。
バイトのために。
——なぁんで、こういう時に使えないかなあ、あのカメ助。
——大事な彼女がストーカーに狙われてるっていうのにさ。
翠の言葉を思い出して、ため息が漏れる。
もう何度も彼に好きって言われたけど、結局わたしの優先順位、やっぱりバイトより下ってこと?
やや、別に……いいんだけど。さ。
でも……ちょっとモヤモヤしてしまう自分がいる。
今頃お客さんと、どんな話をしてるんだろう。
どんな甘い言葉を、どれほど甘い笑顔で、ささやいてるんだろう。
これまでに、あの腕に抱かれた女性は、一体何人いるんだろう。
そりゃ、あんないい男だもん。きっと学生時代からモテまくりだったでしょうけど。
夜9時近く、そろそろ社内にいる人も両手で数えられる数になってきた。
「おつかれさまでーす」
「お疲れ様です」
デザインチームの数名が連れだって出ていく後ろ姿を見送ってから、右隣のデスクに目をやった。
今日もやっぱり、拓巳は6時きっかりに退社。
バイトのために。
——なぁんで、こういう時に使えないかなあ、あのカメ助。
——大事な彼女がストーカーに狙われてるっていうのにさ。
翠の言葉を思い出して、ため息が漏れる。
もう何度も彼に好きって言われたけど、結局わたしの優先順位、やっぱりバイトより下ってこと?
やや、別に……いいんだけど。さ。
でも……ちょっとモヤモヤしてしまう自分がいる。
今頃お客さんと、どんな話をしてるんだろう。
どんな甘い言葉を、どれほど甘い笑顔で、ささやいてるんだろう。
これまでに、あの腕に抱かれた女性は、一体何人いるんだろう。
そりゃ、あんないい男だもん。きっと学生時代からモテまくりだったでしょうけど。