新side

僕はさっさと帰ろうとした高岡を引き止めて強引に指導室へ連れてきた。


家のことを聞くと顔を歪めて強がる。


子供のクセしてなにを意地張ってんだか。


そして、高岡は泣き出した。


昨日も今日も、高岡はどこかほかの生徒より大人びた雰囲気を放っていた。


その高岡が子供のように泣いている。


「うっ…うっぁあっ…」


ゴシゴシ手で涙を拭っても、次から次へと涙は溢れてきていて、今まで我慢していたことがすぐにわかった。


「高岡?どうした?」


僕は優しく頭を撫でた。
自分でもびっくりしている。


けど、なんでだろう


この子が泣いてるところを見るのが苦しいんだ。


「わ、私…っ両親いないの…っ」


…え。


高岡から聞いた話は衝撃だった。


詰まり詰まりで、がんばって話してくれた高岡をなんだか強いと思った。


「どういうことだ…?」


「私…生まれてすぐに捨てられたんです。そして、施設で育って里親が見つかりその人にお世話になってたんですけど、私なことをゴミを見るような目で見て、自分の娘だけを愛すんです。まあ、それは当たり前のことですよね。」


高岡は弱々しくわらった。


この子の笑顔初めて見た、しかも、こんな弱々しい笑顔。楽しそうに笑う顔を見たい。


この子のいろんな顔を見たい。




「君さ、僕の家くる?」