愛瑠side

私は朝よりも機嫌が悪い。


なんでよりによって私のクラスにあの男が担任…。


そんなこと思っても仕方ない。
極力関わらないようにしよう。


それにしても、


「佐倉先生っていくつぅ〜?」

「ねぇねぇ、彼女いるのぉ?」


……とにかくうるさい。


あの男が来てからクラスの女子が恋する乙女のような表情だ。


まあでも、たしかにあの男はカッコイイ部類に入るだろう。


クリクリの茶色の目に、無造作に作られた茶色の髪型、筋の通った綺麗な鼻、ピンク色の形のいい唇。悪いとこなしじゃん。


まあ、私は論外だけどね。



「えーと、とにかく!とりあえず1年間よろしくな!!」


佐倉 新はニコっと笑うとクラスの女子が叫び出したのは言うまでもない。


無事に1日学校が終わり帰ろうとした。

その時、


「あ、おーい。高岡さん?」


この声…


「なに、佐倉 新…」


そうあの男だ。


「えっ、担任のことフルネームで呼ぶかぁ?普通!」


佐倉 新は手を腰にかけて私を見下ろす。


なんのよ、もう。帰りたいんだけど…


「ちょーっと、指導室においで?」


…?!


ガシッと腕を掴まれてそのまま歩き出した。


「わ、私、行くなんて、言ってないっ」


なんて言っても、お構い無しで指導室へ連れてこられた。


「な、なんなんですか。」


じっと睨むと佐倉 新はハァとため息をついた。


「あの、昨日大丈夫だったのか?ちゃんと家に帰れたのか?」


心配そうな顔で私を見る。


あ、心配してくれてたんだ…


「あ、はい。」


私は驚きを隠せない。


「なんであんな夜に1人で出歩いてたんだ?」





正直いうと、言いたいくない。


私のことはほっといてほしい。

なのに、なのに…

なんで?


佐倉 新があまりにもまっすぐな目をするから心が揺らいでしまう。


「か、関係ない、ですから…」



私は泣くのを必死でこらえ、ひどい言葉を放った。


「関係ない、ことはない。僕はお前の担任でもある。それに、なぜか放って置けない。」


ほら、またそうやってまっすぐな目をする。


そんな顔するから…



「うっ…うぁあ…っ」




涙が出ちゃうんだよ。