愛瑠side

私は、今機嫌が悪い。


なんなのあの男…



高校の教師って言ってたけど、私あんな人見たことないし。


嘘なのか、本当なのか、わからない。


家に帰れって言われたって帰る場所もないもの。どうしろっていうのよ。


「…どうしたらいいのよ。」


私は無意識に涙を流していた。


ダメだ。泣いちゃダメなんだよ。


これ以上、私は弱虫になんてなっちゃいけないんだ。


しばらく公園で空を眺めたあと家に戻り、気付かれずに自分の部屋に入った。



ジリリリリッーーーー


「んん…もう、朝か…」


起こしてくれる人はいない。
あの人たちが起きる前に起きなきゃ


私はササッと支度を済ませ、すぐに家を出た。うん、よし、大丈夫。
今日も頑張れ自分。

私は学校へ向かった。


ガラッ


「…やっぱり誰もいないか。」


まだ7時30分だもんね。

しかも寒いと余計にみんなは教室に来るのが遅い。

だから、私はこのひとりの時間を独り占めできる。

この時間が私の楽しみ。


「お。高岡おはよう」


私の楽しみが一瞬にしてなくなった。


「あ、おはよう…宮下くん」


彼はクラスのムードメーカー的な存在で、一人ぼっちの私にもみんなと平等に接してくれる。


「今日もさみぃーなあ!」


そう言って、にかっと笑う宮下くんに本当に寒いのか疑いたくなるよ。


宮下くんは普通にモテる。
優しくて明るくて爽やかでカッコイイ


まあ、私にとってはただのクラスメイトっていう存在なんだけどね。


「そういえばさあー、今日新しい先生が来るんだってよ〜。それにイケメンらしいぜ!」


そういう話は普通女子がするもんじゃないかなあ?


「そうなんだ。」


新しい教師…


私は昨日のを男を思い出した。


いや、まさかね。ありえないでしょ…

そして、全校朝礼にて………


「今日からここの教師をやらせてもらいます。佐倉 新です。よろしくお願いします。」


私の"もしかして"は予想的中。




新しい教師とやらは、昨日の男だった…