「っ……て、あれ!? ここどこ!?」

辿り着いたのは確かに、私がこの春から通うことになっている高校――――青葉学園のはずだった。

きちんと正門から入ったし。

中学の時に文化祭で訪れたこともあるから間違えようもないし。

なのに、気づくと私は密林の中にいた。

足元は柔らかくて深い腐葉土。

踏みしめるとくるぶしまで地面に埋まってしまう。

頭上には分厚い木々の屋根。

木漏れ日すら殆ど見えない。

気づかないうちに山の中にでも迷い込んだのだろうか。

今が何時だかわからないけれど、もう入学式は始まっている。

このまま迷い続けたら、終わってしまうかもしれない。

そもそも、私はここから出られないかも。

遭難して、ここで死んでしまうんだ。

半泣きになりながら、草葉をかき分け歩みを進める。

立ち止まったら、本当に心が折れてしまいそうだった。

いやな想像ばかりが頭を巡る。

私、もうだめかもしれない――――そう、思った瞬間。

目の前の森が突然開けたかと思うと、大自然の広場の真ん中に、王子様が立っていた。