あの日、篠宮は俺の前で泣いた。
どうしていいかわからなかった俺はとりあえず彼女を抱きしめた。
頭を撫でると篠宮はなぜか嬉しそうに
「一条の手、相変わらず冷たいなぁー。」
涙をこぼしながらそう言った。
「もう大丈夫だよ。ごめんね、ありがとう。」
涙で濡れた目をゴシゴシっと拭い、いつもと変わらない笑顔を俺に向けた。
篠宮は大丈夫なんかじゃなかった。
けれど篠宮の様子がおかしかったことには気づいていた。
けれど、篠宮が大丈夫だと言うのだから大丈夫だろうと、自分に言い聞かせて逃げた。
そう、あの時俺は逃げたんだ。
彼女と向き合おうとしなかった。
その結果がこれだ。
彼女はまだ目覚めない。
俺は何度も“ 篠宮 葉月様 ”と書かれた病室の前に立った。あとは数センチ。ドアを動かすだけ。
けど、だめなんだ。
病室の前に立つと、手が鉛みたいに重くなって手が動かない。
ドアを開けることができなかった。
俺の代わりにこんな風になってしまった彼女を見たくなかったからかもしれない。
篠宮は俺の病気と今も闘い続けている。
どうしていいかわからなかった俺はとりあえず彼女を抱きしめた。
頭を撫でると篠宮はなぜか嬉しそうに
「一条の手、相変わらず冷たいなぁー。」
涙をこぼしながらそう言った。
「もう大丈夫だよ。ごめんね、ありがとう。」
涙で濡れた目をゴシゴシっと拭い、いつもと変わらない笑顔を俺に向けた。
篠宮は大丈夫なんかじゃなかった。
けれど篠宮の様子がおかしかったことには気づいていた。
けれど、篠宮が大丈夫だと言うのだから大丈夫だろうと、自分に言い聞かせて逃げた。
そう、あの時俺は逃げたんだ。
彼女と向き合おうとしなかった。
その結果がこれだ。
彼女はまだ目覚めない。
俺は何度も“ 篠宮 葉月様 ”と書かれた病室の前に立った。あとは数センチ。ドアを動かすだけ。
けど、だめなんだ。
病室の前に立つと、手が鉛みたいに重くなって手が動かない。
ドアを開けることができなかった。
俺の代わりにこんな風になってしまった彼女を見たくなかったからかもしれない。
篠宮は俺の病気と今も闘い続けている。