「ゆうちゃんを返せよぉっ!」



灯理は、崩れ落ちる。



ーーーあのとき、結灯はきっと、自分の体に無理を強いてたんだ。


俺のせい。



その言葉は、けっこう痛かった。






でも。



「…………ごめん、灯理」


しゃがみこんで、話しかける。



「俺、やっぱり、最後まで結灯といたい。

俺はたぶん、結灯の病気を進行させたし、無理させたと思う。


でも、俺、結灯にすげえ感謝してる。


残りの時間だけでも、結灯を人生最高に、
楽しませてやりたい」


ゆっくりと顔をあげた灯理の目からは、
涙が溢れていた。



「…無理だよ。ゆうちゃんはもう、どんどん動く力が低下してる。

どうやってやるんだよ、おまえが」



「分かんない。でも、お前もそうだろ?

結灯に最後まで、我慢させたくないだろ」


灯理は、悔しそうに顔を歪める。