グイッ!


俺の持っていたリードが引っ張られる。


「?!」


「ワンッ、ワンッ!」

蛍太郎が走って追いかけようとする。



「なに?なんだよ蛍太郎」

俺は蛍太郎を引っ張り戻す。


「アオーンッ!アオーンッ!」


珍しく悲痛な声をあげる蛍太郎。



「………お前も、明日から結灯がしばらく来ないの、分かってるんだな」


「クゥン」

蛍太郎は俺を見上げて、小さく鳴いた。










蛍太郎は分かってたのかもしれない。





結灯が二度と、姿を表さないことを。