「紗英ちゃんとどうやった?」


「ん?普通に喋れたわ!ありがとうな。未央奈のおかげや。」


「どういたしまして。明日からもよろしくな?」


「うん。じゃぁ俺、帰るわ。」


「あっ…バイバイ」


もぅ?でも、だからって呼び止める権利はうちにはない。


「ばいばい。」


壱は帰っていった。


「はぁ…」


うちはそのままボーッと窓の外を見てた。


「なんや…ちゃっかりしてるやん。ばか………」


窓から見えた景色は壱と紗英ちゃんが一瞬に帰ってる所やった。
たった昼休みの20分あまりにあの二人に何があったん?
うちと過ごした半年よりもその20分の方が楽しかった?


「あほ…壱のあほ……」


本間に昨日の言葉を後悔した。なんであの時『うちは壱が好きやから協力出来ひん』って言わんかったんやろ?


「っ………」


泣きたくなくても、涙は出てくる。
うちはこの瞬間に失恋した…