「風が気持ちい〜〜」
我が国ラヴァニアを出て少しすると船の波止場がある。目的地バルバロッサは湖をまたいで西側にあるので、船に乗って向かわなければならない。
「そっかフィアは船初めてだもんな」
初めての海。初めての旅。
海は透明に透き通っている。風が塩っぱい。それに船がこんなに揺れるなんて。文献を眺めてるだけじゃ、本当のことなんて何も知らなかったのだ。文字じゃない、ここには本物が沢山ある。
「ねえ、バルバロッサってどんな国?」
「一応は知ってるんだろ?」
私は辞書的な内容しか知らない。
「実際に行ってみた感想を知りたいな〜って」
私がそう聞くと、兄はうーんと言って頭を抱え出した。
相手国の良いところを捻り出そうとしている感じがする。
「都市は凄く発展してるよ。でも街の人は冷たい印象かな〜」
やっぱり自分の国が一番。そう言って笑みを見せる兄。
「あっ、帝国劇場があるんだよ。あれは感動したなー」
確か、街の外観は赤煉瓦造りの家々が立ち並んでいるそう。他にも貴族向けの娯楽施設まであるらしい。
「行きたい!」
と条件反射で返したが、直ぐ後悔した。
今回のメインは王族との交流会だから、貴国の王宮以外には出れない事になっている。
しばらくして大きな街が見えきた。
確かバルバロッサはここらで一番大きな港と隣接している。
「髪飾り、付けてくれてありがとう」
兄が言った。これからの面会で、これは少しだけ重要になってくるアイテム。また、初めてでも話のネタになるからと言っていた。
腹がきゅうっとなる。
多分、緊張してるんだ私。
______________
__________
「よくお越し下さいました」
下船をして港から王宮までの道のりはまさにパレードだった。
街の人が興味本意から、道の両脇に列を成していた。でも、少しだけ。母国ラヴァニアを懐かしく思った。
「貴女がフィアリード様ですね、長旅お疲れでしょう」
門を入り馬車を降りて直ぐ、正装をした金髪の青年が挨拶をしてきた。誰だろう。よく見ると目鼻も綺麗に整っている。
私が一瞬戸惑って、兄の方を見ると「皇太子だよ」とこっそり耳打ちしてくれた。
「ジャック様。お初にお目にかかります」
頭を一度下げ、軽く会釈をする。
ここでの礼儀や挨拶は、あまり慣れない。もしかしたらぎこちなかったかもしれない。しかし、相手方はそれを気にせず言葉を続けた。
「そのアイリスの髪飾り、とても似合っていますね」
皇太子殿下の言葉が終わると、兄がワザとらしく咳払いをした。
「国王様はお元気ですか?」
「ああ、すいません。まずはお部屋に案内しますね」
彼に連れられて、私は初めて他国の城へと足を踏み入れた。
我が国ラヴァニアを出て少しすると船の波止場がある。目的地バルバロッサは湖をまたいで西側にあるので、船に乗って向かわなければならない。
「そっかフィアは船初めてだもんな」
初めての海。初めての旅。
海は透明に透き通っている。風が塩っぱい。それに船がこんなに揺れるなんて。文献を眺めてるだけじゃ、本当のことなんて何も知らなかったのだ。文字じゃない、ここには本物が沢山ある。
「ねえ、バルバロッサってどんな国?」
「一応は知ってるんだろ?」
私は辞書的な内容しか知らない。
「実際に行ってみた感想を知りたいな〜って」
私がそう聞くと、兄はうーんと言って頭を抱え出した。
相手国の良いところを捻り出そうとしている感じがする。
「都市は凄く発展してるよ。でも街の人は冷たい印象かな〜」
やっぱり自分の国が一番。そう言って笑みを見せる兄。
「あっ、帝国劇場があるんだよ。あれは感動したなー」
確か、街の外観は赤煉瓦造りの家々が立ち並んでいるそう。他にも貴族向けの娯楽施設まであるらしい。
「行きたい!」
と条件反射で返したが、直ぐ後悔した。
今回のメインは王族との交流会だから、貴国の王宮以外には出れない事になっている。
しばらくして大きな街が見えきた。
確かバルバロッサはここらで一番大きな港と隣接している。
「髪飾り、付けてくれてありがとう」
兄が言った。これからの面会で、これは少しだけ重要になってくるアイテム。また、初めてでも話のネタになるからと言っていた。
腹がきゅうっとなる。
多分、緊張してるんだ私。
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「よくお越し下さいました」
下船をして港から王宮までの道のりはまさにパレードだった。
街の人が興味本意から、道の両脇に列を成していた。でも、少しだけ。母国ラヴァニアを懐かしく思った。
「貴女がフィアリード様ですね、長旅お疲れでしょう」
門を入り馬車を降りて直ぐ、正装をした金髪の青年が挨拶をしてきた。誰だろう。よく見ると目鼻も綺麗に整っている。
私が一瞬戸惑って、兄の方を見ると「皇太子だよ」とこっそり耳打ちしてくれた。
「ジャック様。お初にお目にかかります」
頭を一度下げ、軽く会釈をする。
ここでの礼儀や挨拶は、あまり慣れない。もしかしたらぎこちなかったかもしれない。しかし、相手方はそれを気にせず言葉を続けた。
「そのアイリスの髪飾り、とても似合っていますね」
皇太子殿下の言葉が終わると、兄がワザとらしく咳払いをした。
「国王様はお元気ですか?」
「ああ、すいません。まずはお部屋に案内しますね」
彼に連れられて、私は初めて他国の城へと足を踏み入れた。