部屋で着替えていると扉が鳴った。

レボティーだと思ったので「どうぞ」と言って入ってもらった。

「失礼します」

入ってきたレボティーがその後黙ってしまったのでどうしたのかと振りかえる。

そこには眉間にシワを寄せて怒ったような困ったような顔をしているレボティーがいた。

「はぁ。ミーア様、あなたは人妻という自覚がお有りで?」
 
馬鹿にしたように、聞いてくるので手は止めずに

「当たり前でしょ。私ほど自覚して行動している人間いないわ。」と、言い返すと
また、困ったような顔をして

「人妻の自覚のあるものは夫以外の前で服を着たり脱いだりしないと思います。」

そんな事を言われた。

「勿論そんなことしないわよ。でも、レボティーは、別でしょう。」

笑ってそう言うと、眉間のシワが少し深くなってもっのすごい困った顔でため息をつかれた。

「男なんてみんな同じですよ。私を含めね」

そう言ったレボティーは自嘲的な笑みを浮かべていた。

何だかこれ以上反論してはいけないような気がして私は「そう。」と呟いて黙った。

「私は出ていくので、着替えがすみましたらお呼びください。」

律儀に頭を下げて部屋を出ていった。

ぱたんと閉まった扉を見つめながら、少しもやっとした霧が心の中を埋めたような気になった。

さっさと着替えを終わらせ、再びレボティーを呼びつける。

「またせたわね」

「いえ。行きましょうか」

レボティーは、にっこりと笑って扉を開けてくれた。