葉七ちゃんを引っ張って連れてきたところは…。



「ヨーヨー……釣り…?」

「そう!ヨーヨー!」


ジーッと屋台を見つめている葉七ちゃんがあの時みたいな表情じゃなくて、心配になり顔を覗き込む。


「葉七ちゃん…。嫌…だった?」


僕の不安げな声に葉七ちゃんは、ブンブンと首を振った。


「そうじゃなくて…。驚いてて…。」

「驚く?なんで?」


優しく聞くと、だって!と葉七ちゃんが言葉を続けた。


「私、ヨーヨーほしいなんて言ってないでしょ?だから…。」


まぁ、確かに言ってないけど…。

あの表情を見ればねぇ。
欲しいってことくらいすぐにわかるよね。


葉七ちゃんの表情をみて不安になったことが馬鹿らしくなって笑えてきた。


僕が突然笑いだしたことを葉七ちゃんが怪訝そうに顔を歪ませた。


「どうしたの?」

「ねぇ、葉七ちゃん。
葉七ちゃんは気づいてないのかもしれないけど、葉七ちゃんって思ってることがすごく表情に出やすいんだよ。」

「そっ…そんなの気づいてるもん!」


葉七ちゃん、気づいてるんだ。

思わず頬が緩んだ。