そして、空気が先程よりも重く、ずっしりとしてきた感じがした。
逃げたい。この場から、今すぐ逃げ出してしまいたい。そう思った。
卑怯なやり方になる。だが、この雰囲気に耐えられそうにない。
「えっと…変なこと言って、本当に、ごめ━━」
『ごめんなさい。』そう言って終わらせようとしたとき、
「いいえ、大丈夫です。」
はっきりとしていて、それでも低い声が、『ごめんなさい』という言葉を遮った。
「謝らなくていいです。俺が、何も答えなかったんですから。すいません。」
その声が彼から発せられている事に気付く。少し震えていた。
未だに青い表情が崩れぬまま、私を見据えて言葉を繋げる。
「あなたが俺に聞いたことに答える前に、あなたの自己紹介をお願いしたい。俺は佐藤星美です。さっきも言いましたけど。」
「き、木下です。」
とっさに自分の苗字を告げる。
「上だけなんですか?」
からかうように口元を緩めながら言われる。
それを受けて恥ずかしくなり、自分の頬がみるみる紅く染まっていくのがわかった。
「木下、咲織ですっ!」
恥ずかしさのあまり、少々、乱暴気味の自己紹介になってしまった。
逃げたい。この場から、今すぐ逃げ出してしまいたい。そう思った。
卑怯なやり方になる。だが、この雰囲気に耐えられそうにない。
「えっと…変なこと言って、本当に、ごめ━━」
『ごめんなさい。』そう言って終わらせようとしたとき、
「いいえ、大丈夫です。」
はっきりとしていて、それでも低い声が、『ごめんなさい』という言葉を遮った。
「謝らなくていいです。俺が、何も答えなかったんですから。すいません。」
その声が彼から発せられている事に気付く。少し震えていた。
未だに青い表情が崩れぬまま、私を見据えて言葉を繋げる。
「あなたが俺に聞いたことに答える前に、あなたの自己紹介をお願いしたい。俺は佐藤星美です。さっきも言いましたけど。」
「き、木下です。」
とっさに自分の苗字を告げる。
「上だけなんですか?」
からかうように口元を緩めながら言われる。
それを受けて恥ずかしくなり、自分の頬がみるみる紅く染まっていくのがわかった。
「木下、咲織ですっ!」
恥ずかしさのあまり、少々、乱暴気味の自己紹介になってしまった。