「佐藤星美です。星に美しいって書いて、星美です。」

転入生である彼は、淡々と、静かに自己紹介をし、「よろしくお願いします。」と言って、軽く頭を垂れた。

彼の第一印象、美しい。

日焼けをしたことがないのだろうか。そう思う程、彼の肌が抜けるように白い。

今にもポキッと音をたてて折れてしまいそうな、華奢な腕。長い睫毛。切れ長の目。

髪型の右側にかかっているリーゼントがピンで留められ、それがまた、彼の『美しさ』を引き立てている。

世にいう、カッコイイ人だ。

━━『今日、転入生が来るかもしれません。』

はっと、彼を眺めていると思い出した先生の言葉が、頭の中で繰り返される。

疑問が1つ。何故、「かも」と仮定の形だったのだろうか。

彼は今、私達の目の前で普通に話し、普通に2つの脚で立っている。

何も他に問題はない、ように見える。