…ズキ

頭痛が酷くなっていく。身体の痛みも熱を帯びていく。吐き気を通り越して、『痛い』という感覚が全身を満たす。

そして、脳裏を過ぎるものがあった。

━━違う。俺は倒れたのではない。

「ぁ…ぁあ………」

痛い、苦しい。

思い出す。

手が震える。痛い。

無力だ。俺にはもう、何も無い。

瞬間的にそう感じる。

大切な人を、2度も失ってしまった。自分のせいで。

「ぁぁぁぁああ!!」

張り裂けんばかりの声が喉の奥を震わせた。自分の声で無いことを信じたくて、喉に手をあてる。

自分の、声だ。

そうわかったとき、それは嗚咽に変わっていた。目に溜まっていたものが、一気に溢れ出す。頬を伝うものが止まらない。いや、止められない。堪えようとしても、逆らうように溢れてくるものが憎く感じた。

誰にも見られたくなくて、ベッドの中に潜り込んだ。

まだ、痛みは回復しない。