美月が、顔を近づけてきた。
「でも、1つ聞いていい?千尋」
「何?」
「社長さんの事。
誕生日の日、見送って行ったよね?」
「うん」
「その時、泣いてなかった?」
「え?」
「あの、お鮨奢ってくれた人?」
「ずっと気になってたんだけど・・・」
「ああ、そうだったね」
「どうして泣いたの?
何か言われたぁ?」
「俺には、女の子を泣かすような人には
見えなかったよ」
千尋は頷き、どう話そうか考えていた。
本当の自分は見せたくなかった。
信用してないとか
弱みを見せたくないとかじゃない。
ただ、今のこの関係を壊したくなかった。