千尋は、崩れ落ちて唸っていたけど


それでも、手加減しなかった。



「何とか言えよー!!!」


痛い身体を必死で動かし、見上げると


悪魔の目に涙が潤んでいる。


自分も同じ位、痛そうな顔をしていた。



それでも、もう、戻らない!


傍にいてあげる人は、あたしじゃない!



「ゲホッ・・・気が済んだ?・・・ゴホッ」


「オメーって女は?!!!」



千尋が何も言わないので、諦めて


もう1度蹴りを入れ歩き出した。



千尋は、その後姿に怒声を浴びせた。


「女に手を出すなんて、最低!!!」



自分の気持ちと決別する為の言葉だった。



悪魔は振り向き


ニヤリと笑って・・・ツバを吐いた。


睨み合いが続き


悪魔が向きを変えて歩き出す。



「身体に気を付けてー!!!」


千尋が叫ぶと、悪魔が振り向いた。



その顔は・・・・・天使だった。