店中の人が、一斉にドアの方を向く。


「何?」


ママが不安そうに、ドアに近づいた。



ドン!!!


ドアを蹴る音。



今度は、みんな一斉に驚きの声を出した。


そして、1人のお客さんがママに声を掛ける。


「ママはカウンターへ入って!

             俺が見に行く!」


その人が立ち上がった瞬間



バン!!!


いきなりドアが開かれ


「千尋ぉー!出て来ーいっ!!!」



人間の表情ではない!


鬼でもなく


蛇でもなく


悪魔だった!



美月は、驚愕の表情で言い返した。


「もう、終わりにして下さい!!!」


そう言って、頭を下げた。


「煩せーんだよ!!!黙ってろっ!!!」


周りなんて目に入って無かった。



千尋は黙って立ち上がり、歩き出す。