体が窮屈な上に、ひんやりと肌寒いその感触にあたしは目を開けた。



視界には灰色の汚いコンクリートの床が広がり、湿気臭い空気が鼻をかすめる。



「カナちゃん。大丈夫?」



あたしが目を覚ましたことに気付いたチータがあたしの体をゆっくりと起こす。



「勝手にカナに触るな!!」



すると宗の怒鳴り声が……



あたしの体は宗の声に反応して大きく揺れた。



「誰が殴って連れて来いって言った?カナちゃんに手を出さないっていうのが俺の条件だ!!」



チータは宗から視線を移し、離れた所にいる男を見つめる。



薄暗いこの建物の中じゃ、遠すぎて男の顔が見えない。



「チータ落ち着け。わかってる」



そう言った男は一瞬のうちに宗のもとへと駆け寄り、宗を殴りつけた。



「二度とこの女に手を出すな。言うことが聞けねぇならお前ははずす」



あたしはチータに体を支えられながら、男の顔をじっと見つめていた。