「豊は喋るほうじゃないから、何考えてるかわかんねぇ」



「それが不満なのか?」



「不満なわけじゃないけど……あたしって何なのかな?って」



静香に話ながら、今日の出来事を思い出したあたしは気分が落ち込んでいく。



「何があったのか話してみろよ。カナの頭じゃ1人で考えたって無駄だぞ」



「はっ?」



あたしは静香の言葉にカチンときて、静香を睨み付けた。



「冗談だって。話しただけで気持ちが落ち着くこともあるから」



普段はこんなこと人には話さないんだけど、なんだか静香の雰囲気にのまれてしまっていた。



「今日、学校に女が会いに来たんだよ」



「女?」



「聖花の制服着た女」



「それって……」



静香の目が大きく見開いていく。



「豊はふみって呼んでた」



あたしのその言葉に静香はゴクリと唾を飲み込んだ。