あたしのお願いに大輔さんは快く了承してくれた。



静香の病室のドアを開けると「カナか。ノックくらいしろよ」とハスキーボイスが、聞こえてくる。



「あっ……忘れてた」



ニカッと笑った静香は前よりも顔色がいいような気がする。



「死んだと思われてんのかと思ってたよ」



あたしは静香のベッド脇に椅子を運んで、そこに腰掛けた。



「はっ?何言ってんだよ」



「だってなかなか顔見せないからよ」



「悪い」



あたしは自分のことばっかりで、ここに顔を出さなかったことを心底反省していた。



「そんな顔してんなよ」



アハハ~と豪快な笑いが病室の中に響き渡る。



「なんで、笑ってんだよ?」



あたしは静香に笑われてる意味がわからない。



「ちょっとおちょくっただけで、そんな顔するから。冗談だって。翔から話は聞いてたけど、色々あったんだろ?」



「そうだけど……ホントに悪かったな」



このだだっ広い部屋の中で毎日毎日1人でいる静香の気持ちを考えると胸の辺りが苦しくなる。



入院したことはないけど、あたしには1人で時間を過ごす辛さは理解できる。



孤独に支配され、何もかもが嫌になるあの感覚を知っているのに、静香のことをこれっぽっちも考えられなかった自分に腹が立つ。



あたしはどうしていつもこうなんだろう。



人の気持ちに寄り添ってあげられない。



自分が、自分がとそればっかりで……