そんなあたしの心情を察してくれた豊は「話せることだけでいい」とあたしの髪をクシャクシャとする。



「……うん。その時も見て見ぬふりだった。心の中で笑ってたのかもしれない。それなのに今更兄貴面されたって困る。始めてあった日、祐樹が言ったんだ」



「なんて?」



「家族ごっこをするつもりはないって……」



「そうか」



豊は眉間にシワを寄せる。



「それだけ」



「わかった」



何か言って欲しい。



何かというよりはあたしの肩を持って欲しかったのに、豊は何も喋らない。



「そろそろ寝るか」



「…あっ、うん」