ママと暮らしてた小さなアパートに何度も何度も女の人が来ていた。



「あの人を返して」と涙を流しながら。



あれがきっと祐樹のお母さんだろう。



「祐樹のお父さんは離婚して、ママとあたしと暮らすようになった。妹はお母さん側に着いていったのに、何故か祐樹はあたし達のもとへときたんだ」



「それが恨んでる理由か?」



「祐樹の口から恨んでると聞いたことはない」



祐樹はあたし達と会話することすらなかったから。



「あたしに色々とあった時も……」



この事はまだ話したくなくて、あたしは下を向いた。



話したくなくても話さなきゃ意味がわからないよな……