「寝るの早いなι」
「誠疲れてるから。」
武司は自動販売機で飲み物を買いながら呟いた。
コンコン‥。
「は-い。どちらさま-?」
ノック音に壱紀がとっさに返答した。
「あ,こんにちは。」
開いたドアの先に立っていたのは,可愛らしい女子生徒だった。
亜麻色の髪を二つに結わえ何処か恐縮しているようななんともほんわかした女の子だ。
「優貴先輩じゃないですか♪♪お久しぶりです!」
「何!!!」
ゴンッ!!
壱紀の言葉に飛び起きたのは誠だった。だが勢いで天井に頭をぶつけた。
「っつ-‥ι」
「おいι大丈夫かよι」
頭を押さえる誠に秀は声をかけた。
「すみません,ずっと顔を出していなくて,かけもちしている華道部の方が忙しくて‥。」
「そんな事全然‥「全ッ然全然問題ないですよ!!」
壱紀の言葉に割って入ったのはまたしても誠だった。
まだぶつけた頭を押さえながら必死に笑みを作っている。
彼の態度の変わりぶりに秀は疑問を抱く。
「なんだあいつ?態度変わってね-か?」
「誠,優貴さんの事好きなんだ」
武司が秀の疑問に答えた。
「へ-,そうなんだ。なんだか以外だな。」
「でも誠,知らない。」
「え?何を?」
「さっき部で使う備品を買い出しに行ってたんです。その帰りにこれ買ってきたので良かったら皆さんで召し上がって下さい。」
彼女はそういうと持っていた箱を開けた。
すると中には色とりどりのケーキが入っていた。