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「奈央ちゃん-,もう勘弁してよι5問解いたら休憩って言ったじゃんι」

「お前は勉強サボり過ぎだ。お陰で俺まで怒られたんだからな。なんなら清彦を呼ぶか?」

「冗談ι俺あいつ苦手だしι」

「だったら次の問題解け。」


3-C教室。
奈央は京治の居残り課題に付き合っていた。

「つ-か生徒会は良いのかよ」

「会長が仕切りたいって言うから任せてきた。問題はないよ。」


春の淡い夕日が教室に光を差し込む。
静かな教室に,外から部活動の生徒の声が聞こえていた。



「‥奈央,一つ聞きたいんだけど。」

「なんだ?」

「あいつの事は吹っ切れてんの‥?」

「‥なんの話だ。」

奈央の視線が一瞬揺らいだのを京治は見逃さなかった。
でも奈央の言葉を追及する事はしなかった。
付き合いの深い仲でも,デリケートな問題がある事を京治は分かっていたからだ。


「・・・まー良いけど,たまには相談しろよ?お前は嘘が下手だからな。」

「課題追加。」

「え?!ちょっとそれは無いんじゃないの奈央ちゃんι」













…でも,お前に感づかれているなら,やっぱり俺は嘘が下手だよ。





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