タイムレターの返事を投函してから数日が経った頃。
仕事と家の往復に変わりなく過ごしていた私は、いつもの癖で帰宅後一番にポストを覗いた。


私の記憶からもタイムレターの存在など、すっかり忘れかけていたのに。
『瀬戸川香澄様』と、記された空色の封筒が我が家のポストの中に納まっていたのだ。


見つけた私は、何故かドキッとして封筒をポストから取り出した。

確か、私が投函した手紙は桜色の便箋と封筒を使っていたはずで、今こうして手にしている手紙は空色の封筒……。
ということは、少なくとも私の投函した手紙ではない事は明らかだ。


一体、誰から送られて来た手紙なんだろう。


そう思いながら、封筒を裏返す。
目に飛び込んで来たのは「瀬戸川香澄」と記された私の名前。


「私? もしかして、まだ他にもタイムレターを出してたっけ?」なんてボケてみても、誰もツッコんではくれないだろう。

流行った丸文字のクセ字でもなく、空色の封筒に記さている筆跡は大人の文字だという事位の判別はつく。


誰かが同姓同名さんに宛てた手紙?
いや、そんなことは無いか。
記されている住所は間違いないんだし。


玄関を開けた私に「おかえり」とリビングから母親の声が聞こえてきたが、その返事さえ適当に済ませた私は、部屋に飛び込むなりローテーブルの上に空色の手紙をポンッと置く。

そして、何故かその場に正座し届いた手紙を見つめた。


開けてもいい?
開けるべき? ……だよね。

一応、私宛に届いてるんだし。