昔、サンタさん宛に手紙を出した子供がいたとニュースで見たような記憶がある。
郵便局に住所記入無しで「サンタ」宛に届いた子供からの手紙を発見した郵便局員さんは、正直困っただろう。
けれど郵便局員さんは、それを宛先不明として子供の記した住所に送り返さなかった。と聞いた様な記憶がある。


絶対、迷惑な話だ。
そんな事は分かっている。
十分、承知しています。


封筒に切手を貼り、住所を書かず「過去の私へ」と宛名を記し。
裏面には、処分に困るであろう郵便局に迷惑をかけない様に名前だけは記した。
宛先不明で戻すにしても、住所にの記載が無ければ郵便局で処分してくれるかもしれない。なんて安易な考え。


子供じみている。
イケナイ遊び。


全部承知の上で、私はポストに手紙を投函するために再び外に飛び出した。


「ごめん、一回だけ。今回だけね」


指先から離れ、赤く四角いポストの口に落とされた手紙。
きっと捨てられてしまうだろうけど、今の私には気持ちの吐き捨て場所が無くて。

悪い事だと思いながら、手紙を投函してしまった。



___このタイムレターの返事が、私の現在(いま)を変えるとも知らずに。