私は、無性に過去の私に手紙を書きたくなってしまい、便箋と封筒を探し出しペンを取った。
そう。
届いたタイムレターの返事を書き始めたのだ。


あまり未来に期待しないで下さいと。
あなたが考えている以上に、現実は厳しく思った通りに行かない事が多いのだと。
かなり残念な大人に仕上がってしまった私を許してね……と。


桜色の便箋と封筒は中学卒業記念に貰ったもの。
未だに保管してあるのもどうかと思うけど、使う機会が無かった私は便箋と封筒を、本棚に収まっている卒業写真の間に挟んだまま、長い間しまい込んでいた。

ペンは、ブルーブラックのインクを使い。
あの頃流行った丸文字など使わずに、筆ペン並みに達筆!とまではいかないけれど、大人がきちんと書いた字に見える様に気を付けながらペンを走らせた。


便箋2枚に思いのたけを書き留めて。
封筒に糊付けして気づいたのだ。


私は、一体これをどこに出そうとしているんだ?


住所だって変わってないし。
名前だって変わってない。

要するに、切手を貼って投函しても実家暮らしの私の元に届くだけじゃん。


「バカか、私は」


自分のアホさ加減に呆れつつ。
今の現状を吐き出してしまったこの手紙をどうしてくれよう。

投函して数日後に、自分に届くのも空しいだけだし。
かといって、ずっと持っていたくない。
捨てる?
捨てただけで、スッキリするかな?


うーん。と眉間にしわを寄せ、私は暫し考え込む。
そして、出した結論。


ポストに出しちゃえ!