そんな事を眠りにつく前に考えていたからか、ふいに葉山君がどうしているのか頭を過ったのだ。


うわっ、なに急に⁈
今まで思い出しもしなかった葉山君の顔が頭に浮かぶなんて。
どうしているかなぁ、なんて考えてしまうなんて。
私ってば、どうかしてるよ。


枕に顔を埋め掛布団を頭から被った行為が、隣で眠る瑞穂ちゃんには不快だったのか。
熟睡しながら寝返りを打ち、瑞穂ちゃんは私に背中を向けた。


……でも。
あの頃、伝える事が出来なかった想いは胸の奥底にしまい込んだままで。
後悔していないと言えば嘘になる。
瑞穂ちゃんが葉山君に告白したと告げられた時、一瞬血の気が引くような不思議な気分になったから。


十年経った今なら、素直に伝える事が出来るかもしれないな。
今日だって、勇気を出して瑞穂ちゃんに会いに来たんだし。
その甲斐あって、当時の仲に戻ることが出来たのだから。


ウジウジ考える前に、行動した方が良い事があるって気づけたんだし。
この勢いに乗って、抱えてしまい込んでいた初恋は卒業してしまえ!

その方が、この先出逢える恋にだって。
今までのように逃げ腰にならず、もっと積極的になれるかもしれないじゃない……。