「会ったら、また好きになるかもしれないじゃない。再会してイケメンに完成してたら、モノにしなよ。どうせ今フリーでしょ?」
相変わらず、瑞穂ちゃんは鋭く突っ込んでくるなぁ。
しかも当たってるのが悲しいところだ。
枕元に置いていたバッグがから手紙を取り出す。
数日前に出されていることを意味する消印、柔らかな色合いのブラウンインクで記された住所と宛名。
「ねぇ、瑞穂ちゃん。この手紙に心当りがあるってさっき言って……」
隣りで眠る瑞穂ちゃんは、既に寝息を立てていた。
当時と変わらない寝顔は懐かしくて。
そんな瑞穂ちゃんの寝顔を眺め、手にしていた手紙に再び目を向ける。
どうしてだろう。
どこかで見た事があるような文字と、懐かしく感じるブラウンのインク。
そして、この空色の便箋と封筒……。
同じ卒業生達の手元には、十年前に書いた自分宛てのタイムレターが届いているはず。
瑞穂ちゃんの言うように、タイムレターを手にして当時を懐かしく思い出している人が少なからずいるだろう。
私の様に過去の自分に指摘され、ただ何となく過ごしてきた日々を後悔している人だっているかも。