「うわっ、香澄って結構ドライだったんだね。浩太かわいそー」

「……同じような事、同期の友達にも言われた」

「友達? そっか。そんな話まで出来る友達が出来たんだね、良かった」


瑞穂ちゃんに話せなかった葉山君について、同期の美園に話したことを瑞穂ちゃんは怒らなかった。
それどころか、どこか安心したような表情で私に笑顔を向けている。


「怒らないの?」

「どうして? 私のせいで香澄は深い付き合いの出来る友達を作れなかったんでしょ? でも、ちゃんと香澄を思ってくれる友達が近くに居るって事が分かって安心した」


これで中学時代の後悔から卒業できる。と瑞穂ちゃんは胸を撫で下ろした。
そっか。
瑞穂ちゃんも心の片隅に、ずっと当時の事が引っ掛かっていたんだね。
悪い事しちゃったな。
もっと早く、瑞穂ちゃんと話せばよかった。


「香澄、そっち行っていい? 修学旅行の時みたいに、一緒に寝ようよ」

「え? 狭くなるじゃない」

「いいじゃん、いいじゃん。お邪魔しまーす!」


やっぱり私は相変わらず瑞穂ちゃんのペースに乗せられていて。
私の返事も聞かずに布団の中に潜り込んで来た瑞穂ちゃんは、当然の様に枕を並べ眠りにつこうとしていた。