「んー。まぁ、そうなのかな。でもさ、同じ年頃の女性がカップルで来園してる姿とか、可愛い子供連れて家族で来てるの見てると、実際ちょっと焦るけどね。いい歳して自分は何やってるんだろうって」
「仕事してるじゃない」
「そうじゃなくて。そろそろ結婚してもおかしくない年齢なんだなーとか実感しちゃうわけよ。女として置いていかれてる気分になるんだから」
順調そうな瑞穂ちゃんでさえ、そんな事を考えているのか。
だったら、私が過去の自分にいい報告が出来ないのも仕方ない事だよね。
「もしかして、浩太のこと引きずってるから?」なんて、思いもよらないことを瑞穂ちゃんに告げられ、私は驚き布団から飛び起きた。
「違う違う! タイムレターが届くまで、葉山君のことは忘れてた」
必要以上に否定した私に「あれだけ親しかった私にも話さなかった位だから、浩太には告白してないんでしょ?」と瑞穂ちゃんにツッコまれてしまった。
完全に墓穴を掘ってしまったみたい。
私の完全なる片思いで、淡い恋心で、今はもう「青春の一ページ」だ。
思い出のひとつ。
その証拠に、私は中学を卒業した後も葉山君に会いたいとも思わなかったし、大学時代は他の人を好きになってた。
今だって、タイムレターに彼の名前が書かれていなかったなら、その存在さえも忘れていたと思うし。