「よく思い出してみなさいよ」


そう言われても、全く思い当たらないんだよなぁ。
瑞穂ちゃん以外に親しかった友達なんて居なかったし。


私宛に届いた「過去の私」からの手紙。
この手紙のおかげで、瑞穂ちゃんとの仲は解決したけれど、謎は深まるばかり。


ファミレスで思い出話にも花が咲き、現在の自分達の近況を報告し合ったりもした為に、すっかり時間は過ぎていて。
日帰りを予定していたはずが「明日、香澄の仕事が休みなら泊まっていきなよ」と言ってくれた瑞穂ちゃんの言葉に甘え。
急遽、今夜は瑞穂ちゃんのアパートに泊まらせてもらう事になった。


瑞穂ちゃんが用意してくれたパジャマを借り、気分はすっかりパジャマパーティー。
シングルベッドの足元に布団を敷いてみたけれど、お喋りは尽きる事が無く。


「香澄は今、付き合ってる人とかいないの?」と、女子トークにつきものの話題が瑞穂ちゃんから投下され、私はタイムレターで過去の自分からもツッコまれた話題だと話す。
悲しい事に胸を張って言える事さえ何もないのだと。


「瑞穂ちゃんはいいね、好きだったダンスを仕事にしたんだから。夢が叶ったよね」