「私こそ、ごめんね。瑞穂ちゃんがそんな風に思っていたなんて知らなくて」
勝手に私だけが被害者みたいな気持ちになってた。
瑞穂ちゃんは卒業してからも、私のことを気にかけてくれていて。
実家に帰省した際は、何度も私の家の前まで来てくれていたらしい。
「結局、さっきの香澄と同じ様に勇気出なくて、インターホン押せずに毎回帰って来ちゃってたんだけどね」
そう言って、メインのサイコロステーキを食べきった瑞穂ちゃんはデザートに特大パフェを注文した。
「このパフェさ、いつか香澄と一緒に食べたいなって思ってたんだよね。あの頃みたいに分け合って。だから、仲直りできるまで注文しないって決めてたの」
仲直りするまでに十年もかかっちゃったね。と瑞穂ちゃんがはにかんで笑うから、その笑顔につられて私も笑った。
道を教えてくれたご婦人の言った通り、瑞穂ちゃんと私は何時しか中学生だった頃の自分達に戻っている。
穏やかで幸せな空気感を久しぶりに感じて。
瑞穂ちゃんと他愛ない会話をしていることが、素直に嬉しい。
またこうして二人で笑い合うことができるなんて思っていなかったから。
運ばれて来た特大パフェを食べながら、私はふと思ったのだ。
もしかしたら届いた空色の手紙は、仲直りの口実作りで。
瑞穂ちゃんが私を呼び寄せるために書いて送って来たのではないかと。