「知ってた? 香澄の気持ちに気付いたから私は慌てて浩太に告白したんだよ? って、香澄は知らないかー。あははっ」

「……瑞穂ちゃん、そこ笑うトコ?」


どうして、そんな楽しそうに思い出しながら話せるの?
結局、私が無視されたのって「瑞穂ちゃんと好きな人が被ったから」ってことでしょ?
瑞穂ちゃんが好きだった葉山君の事を、私も好きになっちゃったから……。


「だって、もう十年も前の昔話じゃん。それに、私は速攻でフラれたし」


何も知らなかった。
瑞穂ちゃんが葉山君に気持ちを伝えていた事も、その場でフラれていた事も。


「でも私は後悔してないよ。香澄と違って浩太に直接気持ちを伝えたし、浩太もちゃんと‘ありがとう’って言ってくれたから、スッパリ諦めること出来たしね」


結局フラれたのだから失恋したことに変わりはなくて、暫くは私に声かける気持ちになれなかったのは事実だった。と教えてくれた。


「急に無視したりしてゴメン。自分でも嫌な奴だって分かってたの。分かってたんだけど、香澄は一向に浩太への気持ちを教えてくれないし。私はちゃっかり抜け駆けするみたいに告白しといて、それを話す事も出来なくて。私達って、そんな仲だったのかなとかモヤモヤ考えてたら声をかけ難くなちゃって……」


言葉を交わす事無く卒業の日を迎えてしまった私達だった。