自然体の瑞穂ちゃんを前に、戸惑っているのは私だけ。
どうしよう。
ただ、懐かしくて瑞穂ちゃんに会いに来たわけじゃない。
私には確かめなきゃいけない、聞かなきゃいけない事があるのに。


この雰囲気を壊したくない。


そんな思いが私の喉を詰まらせ、いつしか手にしていたナイフとフォークをテーブルに置いていた。


「香澄? どうかした?」

「……ううん」

「うそ。そうやって、急に黙り込む時の香澄は必ず何か言いたい事がある時だよ? なに?」


私の変な癖をしっかり覚えているなんて、さすが瑞穂ちゃんだ。
このまま黙って帰ることなんて出来ないんだなぁ。

ゴクリと唾を飲み込み胸に左手を添え大きく深呼吸した私は、正面に座る瑞穂ちゃんに聞いてみる。


「瑞穂ちゃんに聞きたい事があって来たの。どうして急に私を避けたの? 無視したの? その後、クラスの女子全員から無視された私は、あの頃から人を信じる事が出来なくなった。友達を作っても、表面上だけ合わせることくらいしか出来なくて。信じて裏切られるのが怖くて、今でも踏み込んだ付き合いが出来なくて……」

「それって、私だけのせいじゃないでしょ? 香澄が壁を作ったりするから」