電話を切った途端、心配そうな表情を浮かべている美園に訊ねられた。
「行ってみるつもりなの?」
「うん、もしかしたら仲直りできるかもしれないし。手紙に書かれていた様に、どうして私を無視したのか確かめたいから」
「一緒に行こうか?」とまで言ってくれた美園に、心から感謝したい気持ちで胸が熱くなる。
思っている以上に、美園が私のことを気にかけてくれたのだと知り、今まで付き合ってきた薄っぺらい友達とは全く違うと実感した。
本当に私のことを心配してくれている美園と、もっと仲良くなりたい。と素直に思ったから。
私は瑞穂ちゃんとの事を、しっかり解決させなければいけないと思った。
職場に戻った私は、その足で有給の取得を上司に申し出る。
上司は、突然の申し出に目を丸くして驚いていたけれど「いつも真面目に仕事をしているから今回だけは特別に」と急な申し出を受理してくれた。
「気を付けてね。何かあったら連絡して」と美園は私を心配してくれる。
そういえば今迄も、美園は事ある毎に私を気にかけてくれていた。
なのに、そんな美園の厚意を私は疑っていて。
素直に受け入れる事が出来ていなかった事に気付き、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
何かが私の中で変わってきている。
そう思うのは「過去の私」から届いた手紙のせい。
あの手紙を手にしなければ、読まなければ、美園の気持ちにも気づけなかったし、疎遠になっていた瑞穂ちゃんに会おうなんて思わなかったから。
私に勇気を与えてくれた手紙。
これは、本当に過去の私が今の私を変えたくて送ってきた手紙だと思った。