「これってホントに、この前出した手紙の返事だ……」
空色の便箋に記された文面を読み、私は心の奥にしまい込んでいた記憶を思い出す。
そうだ。
私は仲良くしていた友達の瑞穂(みずほ)ちゃんから、急に掌を返され冷たくされた。
どうしてなのかも分からずにクラスの女子から仲間外れにされて。
以来、深く付き合う様な友達を作る事をやめた。
違う。
やめたのではなく、作れなくなってしまったと言う方が正しいかもしれない。
信じて、裏切られるのが怖くて。
上辺だけの付き合いばかりを繰り返し、信用できる友達など一人もいない。
美園だって。
今は仲良くしているけど、職場の仲間だし同い年だし気が合うから一緒に居るだけなのでは、とイマイチ信用しきれていないでいる。
あれ以来、初めてできた「友達」だと思っているけれど……。
美園も、いつか私にそっぽを向いてしまうかもしない。
そうなった時が怖くて、お互いの家に泊まりに行くとか一晩中飲み明かすとか。
もう少し深い付き合いをしたいと思っていても、出来ずにいるのだ。
怖くて一歩踏み込めずにいる。
私しか知りえない、私の内情。
ズバリ指摘してくるほどの手紙。
怖さよりも先に。
「過去の私」に指摘され、その根源を解決しなければ前に進めないのだと思ってしまった。
故に、私の手元に届いた空色の手紙は。
やはり「過去の私」から「現在(いま)の私」へ宛てられた手紙なのだと確信した。