「そういえば、相澤もこっち方面だよな?一緒に帰ろうよ」
お互い最寄駅から家までは徒歩で、
しかも帰る方面も同じだなんて。
神様はどんだけ意地悪なんだ。なんつって。
隣を歩く杉浦は 中学の頃より
全然大人びてて、無駄に身長が高いし、
星陵高校のかっこいいブレザーがよく似合う。
杉浦はわかりやすく、あの話をしようとしていたけど、
私はその言葉を言わせまいと、ベラベラとしゃべり続けた。
「杉浦は言葉が丁寧だよね。あと字も綺麗。」
そんなところでさえ、私とは真逆で、釣り合わない。
そう思いながら、杉浦が言いたいことを
遮るかのようにわたしは話を続けた。
そんなことしても、意味がないと分かってても。
「そういえばあれって、何だっ「あの日のこと、覚えてる?」
杉浦は私の言葉を遮って、わざとなのか、
私を見ないように、前を向いて言った。
必死に避けていたあの話を、しようとしている。