「そうか、ありがとう」

 礼を言って通話を切ると、しばらくして呼び出し音が鳴った。

<どうした>

 画面には何も映し出されていないが、この声は確かにベリルだ。

「ちょっと厄介な依頼でな」

<少し待て──そちらに向かう。二時間ほどで着くだろう>

「よろしく頼む」

 通話を切って、あからさまに嫌悪感を放っているバルパルに歩み寄る。

「ディランの言うように、嫌ならキャンセルだ」

「解ったよ!」

「なんでそこまで嫌ってるの?」

 エイルクが尋ねると、バルパルはふてくれた様子で語り始める。

「軍の武器開発をしてるって言ったよな。数年前に軍の模擬訓練があって、傭兵を呼んでの訓練をしたんだ」

 ベリルは傭兵チームのリーダーだった。

 その内容は街中を模(も)した場所での市街地戦だったのだが、軍四十対傭兵二十での模擬戦はベリルの傭兵チームが圧勝した。

「俺が作ったシミュレートをことごとくかわしていきやがってぇ~」

 ふるふると握った拳を震わせる。