「やー、ありがとう、ありがとう。あんまり壊れてないみたいで良かった」

 礼もそこそこに、バルパルは動かなくなった試作機を眺めた。

「まったく。次からは気をつけろよ」

「解ってるって」

 呆れて腕組みする白銀に目もくれず、熱心にプロトタイプを調べている。

「あいつは?」

 しかしふと、視界にベリルがいない事に気がつき、怪訝な表情で見回した。

「え? さあ」

 刹那、軽い破裂音が倉庫中にこだまして一同はそちらに振り返った。

「あああああ!? てめっ!? なにやってんだよ!?」

 レトロなハンドガンを構えているベリルに叫びを上げた。

 彼が撃ったものは、プログラムの入ったコンピュータだ。

 ベリルは火花を散らす灰色の箱を見やり、無表情にハンドガンを仕舞う。

「問題ない」

 バルパルに笑顔で応え、あとのプログラムは軍でやれと言い放って乗ってきた宇宙船に姿を消した。

「なんなんだよ!」

 半泣きで破壊されたコンピュータにすがりつく。

 何発撃たれたのかは解らないが、確実に仕留めにかかっている。