「おーい、こっちじゃこっちじゃ!」

 ナナンは大きく手を振ってロボットを呼ぶ。その動きにロボットは反応し、ナナンを追い始めた。

「わひゃひゃひゃひゃ! 足が遅くて助かったわい!」

 そそくさと逃げるように駆け出す。

「来るぞい!」

 一際(ひときわ)、拓けた場所にたどり着くと、待っていたリャムカと白銀に発した。

 幅十メートル、距離にして百メートルほどの道路に三人は並んで立ち、ロボットを待ち受ける。

 建物の間を流れる微かな風の音が支配するなか、徐々に近づいてくる小さなモーター音──三人を認識したロボットは感情もなくレーザーを放った。

 しかし、それは白銀たちの眼前で霧のように散っていく。

 それでも攻撃は止まず、少しずつ距離が縮められていった。

「……早くしろよ」

 白銀は口の中でつぶやいた。

 攻撃が利かないと判断すれば、プラズマキャノンを撃ってくるはずだ。

 さすがにそれを防げる自信はない。

 ふと、ロボットの攻撃が止んだ。

「なんかやばいぞ」

 白銀はぞわりと背筋から冷たいものが走るのを覚え、危険が迫っている事を感じた。

「ベリル!」

 張り上げた瞬間、ロボットの足下に何かが転がってくる。

 それに注意が逸らされたのか、メインカメラがその塊に合わせられた。

 途端に爆音が鳴り響き、ロボットが体勢を崩す。

 ロボットは左脇から突然現れたベリルに対応しきれず、背後のスイッチを押されてあえなくその動きを止めた。

「おせえよ」

 安堵の溜息を吐いた白銀にベリルは笑みを浮かべた。



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