──真昼を少し過ぎた町並みは、まるで音を吸収しているかのようにしん、として肌寒ささえ感じる。
かつて人々が生活していた場は荒(すさ)み、風の音だけが冷たく流れていく。
ベリルはその風景に目を細めたあと、黒い物体を取り出した。
手のひらに納まるほどの球体の上部にある突起を押すと、それは音もなく浮き上がり遙か上空に消えた。
それを確認すると、全員がヘッドセットを右耳や左耳に装着していく。
ヘッドセットからつながっている小さい透明の板にいくつかの点が表れた。
黒い点は自分を示している。
誘導するメンバーはリャムカとナナンが組み、ディランとエイルクが組んで行う。
白銀とベリルはそれぞれ背後の停止スイッチを狙い、他は破壊の方向で作戦は決行された。
ターゲットのロボットには人の目の位置にある二つのセンサーだけでなく、体のあちこちに数種類のセンサーが取り付けられている。