「こいつはまだプログラムを入れてない。だから動かない」

「素材は」

「我が軍が研究開発した金属だ。ちょっとやそっとの攻撃じゃビクともしない」

「軍から持ち出し許可を得ているのか」

 誇らしげに語るバルパルにしれっと言い放つ。

 そして半笑いのバルパルから視線を外し、デスクの上にあるコンピュータをのぞき込んだ。

「おい、機密情報だぞ」

「それを倒して欲しいのだろう?」

「うっ」

「ならば協力してもらわねばな」

「見たって解るもんか!」

 あ~、完璧にベリルのペースに乗せられてるな。一同はそのやり取りに苦笑いを浮かべた。

 思えば、機密ならここにあるのもおかしいのだから強い事は言えない。

 ベリルはある程度の流し読みをしたあと、思案するように小さく唸った。

「ほらみろ、わかんねぇだろ」

「それほど単純なものなのか」

「ぐっ」

 どう見て取ってもバルパルに勝ち目はなさそうだ。