しま子を見つめるあたしの脳裏に、ひとつの言葉が閃光のように蘇る。


 あの日、お父さんとお母さんが、別れを告げることもできずに泣いているあたしに教えてくれた大事な言葉。


『本当に大切に思う相手とは、心のどこかが通じている。だから絶対に離ればなれになることはない』



 そうか……。


 そうだ。



「そうだよ。そうなんだよ!」


 お父さんの笑顔。お母さんの温もり。


 真美とふたりで写した写真。


 心の奥に根差す、たくさんの忘れ得ぬ記憶たち。


 その大切な記憶たちが、まるで朝一番に差し込む一筋の光のように、迷う心を明るく照らしてくれた。