山の中は当然ながら、街灯も照明もなくて真っ暗で見通しが効かない。


 町の明るさとのギャップがすごくて、暗闇度MAX。しかも道が凸凹で歩きにくいうえに急斜面。


 風が吹くたびに枝が蠢く気配と、『ザワザワ』って、すごい陰気な音が聞こえてくる。


 誰かの足音が『ザッ』て大きな音を鳴らすたびに、ビクッてしちゃうよぉ。


 飛び出た枝に服が引っ掛かって引っ張られるたびに、『誰かいる!?』ってなっちゃうよぉ~!


「もうヤダ! ホラーな雰囲気イヤだ! 怖いよお!」


「進歩のない小娘じゃのぅ。前にも言うた記憶があるが、神の一族の末裔がこの程度のことで泣き言を言うでないわ」


「だってこんなに暗かったら、はぐれそうで危ないよ! ねぇクレーターさん、明かりちょうだい!」


「私の頭は太陽ではない!」


「違うって。便利アイテムない?って聞いてんの! 誰もクレーターさんの頭がピカピカとか言ってない!」


「今言ったろうが! たった今言ったろう!」


「ふたりで低レベルな争いをするでないわ。小浮気よ、小娘がやかましいから何ぞ出してやれ」


「まったく……」


 ぶつぶつ文句を言う声と一緒に、夜目にも白い煙がボンッと広がった。


 と同時に、明るい緑色の光がいきなりバーッとサーチライトみたいに周囲を照らし始めてビックリする。


 クレーターさんが手に持っている、その光の原因を見てさらに「うわっ!?」とビックリ。


「ク、クレーターさん、それなに!?」

「キノコだ」


 そう。クレーターさんが持ってるのは、まさしくキノコ。


 男性用のこうもり傘ぐらいの大きさはある、超巨大なシイタケ型のキノコが、緑色に煌々と光り輝いていた。


 最新アウトドア用品!? キャンプ場とかに持ってったら、ちょっとオシャレかも!