「うん。野球をやってる。前のとこでも野球チームに入ってたけど、6年生は夏で引退なんだ。中学でも続けたいから、体がなまらない様に毎日走ってる」
「へー」
ただのガリ勉なのかと思ったら、スポーツも頑張ってんだ。
そんな遥輝に好感が持てた。
それ以来、朝の静かな教室で俺たちは話すことが多くなった。
遥輝は人あたりがよく、すごく話しやすかった。
真面目だけど、明るくて面白くて。
遥輝といるとすごく居心地が良かった。
遥輝といて、俺もだんだん変わっていった。
ワルぶってる方が、ダサイってことに気づいた。
一生懸命やることを恥ずかしいなんて、どうして思ったんだろう。
遥輝にならって組体操の練習も真面目に取り組んだ。
運動会当日、ピラミッドでは感動して涙が溢れた。
一生懸命って、カッコいい。
「俺のこと、蒼って呼べよ」
「えっ?」
「お前のことは、遥輝って呼ぶから」
「……ああっ!」
俺達は、親友になった。