彼はどうして、あたしのそばにいてくれるのだろう。親友は桃弥かもしれないが、桃弥以外の友達だっているはずだ。

あたしなんかといたら、彼の好きな女の子だって、離れていくかもしれない。

全てを捨てて、あたしを助ける意味なんてない。


「琉冬、いないの?カノジョとか。」

素朴な疑問を彼に投げてみた。

彼は、ぼんやりと空を見ていたままの瞳で、あたしを見て、ぽつりと言った。

「カノジョはいないけど……。」

と言ったきり、もうこっちを見てはくれなかった。