小さな黒い箱。その中に少女が1人、窓から月を見上げている。月明かりに照らされた紺色のドレスが彼女の白い肌をいっそう際立たせている。壁も天井も、すべてが真っ黒。もちろん、数少ない家具でさえも真っ黒。
「やっぱり、黒がいいよ。」
小さな声でそっと呟いた彼女。
「黒はいつでも、どんな色でも染められる。あの空も月もこのドレスさえも。けど、変えてはいけない。黒は神秘。周りの色と違って惹き込まれる。白なんてありえない。あんなに味気ない色、何の面白さもない。あんな色、無くていい。」