西条さんのグループには他に3人のメンバーがいる。

彼女のグループは校内でも知らない人はいない。何故ならメンバー全員が何かしら特技を持っていたり、御令嬢だったりするいわば、学園のトップクラスの集まりだからだ。

もしかしたらそれが周囲の奇妙な反応の原因かもしれない。
入学当初から西条さんグループに話しかける生徒は多く、その生徒達の全員が貼り付けた笑顔でお世辞を並べていた。

「まぁ、そんな凄い人達に話しかけるのは緊張するか。」と私は特に気にせずにいたのだが。


「椿はっけーん!ってあれ?その子って‥」

「あぁ、鞠。」

高くて可愛い声が聞こえてきて思わず振り向いたら、そこには黒髪ロングのストレート、お人形さんみたいな可愛い顔の女の子が立っていた。

すごい。本当にお人形さんみたい。

本当に‥そう。その子の目は人形のように冷たい目で私を見ていた。

「この子は佐藤結衣さん。仲良くしてあげてね。」

「へー‥椿、珍しいね。」

え、何が?‥と言いたかったけれど触れたら切れてしまいそうな張り詰めた空気が漂っていたから口を塞いだ。

「よろしくね!結衣ちゃん。」

そう言った鞠の顔は微笑んでいたが、心からそう思っていない事は分かった。

怖い。それが私の鞠への第一印象。

「よろしくね‥。」

少し失礼するわね、と言って西条さんが鞠を連れて教室を出た。

そうだよね、分かってる。元から西条さんと仲のいい鞠にとって私の存在は邪魔だろう。しかも私は外部からきた生徒。

改めて自分が1人だという事を実感した。

寂しい。西条さんが友達になろうなんて言うからこれまでより余計に。

この大きな学園で私はこれからもずっと1人なの‥?

そう思うと涙が溢れてきた。

急いで教室を出てただただ走った。

ドン

「すみません!」

「あれ、君‥」